« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »

2007年6月

2007年6月29日 (金)

宮澤元総理の死を悼む

 昨日宮澤元総理が亡くなられ、小生2回ほど2006年初夏に1対1でお話しする機会に恵まれたことから、たいへん残念に感じています。ご冥福をお祈りいたします。

 以下、昨年2006年の当方・代々木事務所日記からの転載です。

 本日(2006年)5月3日は、代々木事務所から自転車で表参道に行ってきました。ゴールデンウィークの中日でたくさんの人でした。東京は快晴で気持ちのよい昼下がりの午後です。表参道ヒルズ本館にBISTY,sというお店があり、ワインを(プリペードカードを購入して)量り売りで飲める粋なお店を体験してきました。プリペードカード1枚、工夫次第で10種類近くのワインを一度に飲めそうです。これは環境にも優しいたいへん良いアイディアです。

 当日の14:10ころでしょうか、原宿駅の五輪橋手前の木陰で散歩、休憩中の宮澤喜一元総理に偶然お目にかかりました。表参道はたくさんの人、人、人ですが、そこから奥まった神宮前6丁目あたりにはだれもおりませんでした。たいへん静かな通りでした。しかも元総理はお一人でした。小生が「宮澤さんですか」と、お声をかけましたが「はい、そうです」とすぐに答えてくれました。ハンチング帽を被り、杖をつきながら花壇に腰掛け、「今日はあまり調子がよくないのです」とおっしゃっていました。「お歳はおいくつになられましたか」とたずねると、大きな声で「86歳です」と返事され、小生が「おだいじになさってください」と一礼して元総理の前をあとにしました。最近の宮澤さんはだいぶ痩せられて、この1月天国へ旅立った母の姿を思い出しました。早く体調を戻されてお元気になられることを祈念します。

 
 都心ではこういう体験ができることを改めて実感しました。わが国に総理経験者が多数いらしゃることは、社会にとっても良いことです。人生経験豊かな先人の経験や知恵をもっと、我われは活かそうではありませんか。実は、高齢社会は、そうした先人の経験や知恵を活かすことに恵まれた知識価値社会でもあるのです。

2007年6月22日 (金)

高齢者の社会参加にコミュニティ・ビジネス

 最近、発表された日本人の平均寿命は男女とも世界のトップです。都道府県別に見ると、長野県は男性、女性ともトップクラスで、日本一の長寿県といってもいいでしょう。その理由は、自然環境に恵まれ、予防医療も発達し、高齢者になっても緩やかに働ける場所が、身近な地域コミュニティにあるからだと考えています。今後ますます高齢者が増加するわが国において、身近な生活の場に、適度に、頭を使い、体を動かし、仲間と笑うことができる、小さな働く場やボランティア活動などをする場があることはすばらしいことです。

コミュニティ・ビジネスによる起業は地域経済への波及効果ばかりか、こうした高齢者の社会参加の場づくりにも有効に働くのです。たとえば中山間地では、高齢者による無農薬や低農薬による果実・野菜づくりが盛んで、“道の駅”の産直販売として全国各地で展開されています。その加工品も含めると全国で3000億円の市場を形成しているともいわれています。ですから専業農家では年収1千万円を超えることも珍しくありません。一方、ある農家のおばあちゃんは野菜づくりだけで年間売上500万円にも達するというし、“道の駅”では、年間売上10億円を越えるところも少なくありません。このように食材・食品販売がうまくいっている理由は、顔の見える関係の中で営まれる事業なので、食品の安全性への不安が叫ばれるなか、消費者が安心して食品を購入することができるからでしょう。いまの世の中は、顔の見える関係を失っているからこそ、顔の見える関係を回復する、こうした地域の現場にあるコミュニティ・ビジネスが貴重なのではないでしょうか。(拙著「みんなが主役のコミュニティ・ビジネス」ぎょうせい に加筆して構成)

2007年6月19日 (火)

コミュニティ・ビジネスの必要性

筆者が、コミュニティ・ビジネスを言い始めてすでに13年目になります。時代も21世紀に入り早くも6年が経過し、コミュニティ・ビジネスも一人で始めるものから、地域コミュニティの仲間と一緒に始めるもの、そして地域コミュニティ再生のために意志をもって同士とつくるもの、また衰退している地域コミュニティで意識してつくる社会的企業まで、いよいよその輪郭がハッキリと見えてきました。近年の規制緩和により、わが国も個人間や地域コミュニティ間での貧富の格差がますます拡大し、下流社会、ワーキングプアーなどという言葉も広まり、ますますコミュニティ・ビジネスの必要性、重要性が高まってきたと感じております。

筆者は、いままでわが国の北端から南端まで日本各地(800箇所を超える)の地域コミュニティの現場を歩き、その格差を埋めるためにも「何とかしなくては」と、胸を痛めてきました。そうした地域コミュニティへの熱い思いを伝えたいと願い、少しでもわかりやすい形〈著作〉にしようと、仲間とともにまとめてきたのが一連のコミュニティ・ビジネス関連書籍であります。私の熱い想いはまだまだですが、小生のホームページ http://www.hosouchi.com からその想いを感じ取っていただければ幸いであります。そうした著作物が、その改革、再生に向けてのヒントや参考になればと考えております。

2007年6月 8日 (金)

観光も薄利多売のビジネス・モデル

 細内所長は、講演旅行で北は北海道から南は九州まで、国内をくまなく歩いている。そうなると”旅の達人”といってもおかしくない。現地までの最適ルートや格安運賃を導き出すデータベースが常にインプットされているのだ。

 仮にいま3万円あるとすると、日本国内ならどこへでも1泊2日の旅が可能。オフシーズンの北海道、九州、沖縄なら東京から2泊3日の旅も可能である。中国、韓国、香港などの海外旅行まで、3万円前後の旅が可能である。

 また、東京から関東近県へのバスツアーなら、3千円前後から1万円未満まで、食事付もしくは宿泊付きのコースが用意されている。単独で飛行機、新幹線の正規チケットを取ったほうがはるかに高くなる。いまや正規料金はあってないようなものだ。

 こうした状況の中で各地の観光地には、薄利多売のビジネス・モデルが多数用意されることになるが、はたしてそれで本当のおもてなしができるのだろうか。そして、顧客は満足するのだろうか。

 観光の世界でも顧客へのサービス格差が蔓延している。今後の超・高齢社会における観光ツーリズムは、ゆったりとした時間の中で体験する、そこでしか味わえない生活サービスの良さが求められることになるだろう。

 今までの単に早くて、価格が安いというだけの価値観では、よりよいサービスは生まれてこない。観光開発事業者も、現地での生活の良さを体験させる“生活観光”という視点をしっかりと見極めた新しい商品開発が求められる昨今である。

« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »