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2007年6月22日 (金)

高齢者の社会参加にコミュニティ・ビジネス

 最近、発表された日本人の平均寿命は男女とも世界のトップです。都道府県別に見ると、長野県は男性、女性ともトップクラスで、日本一の長寿県といってもいいでしょう。その理由は、自然環境に恵まれ、予防医療も発達し、高齢者になっても緩やかに働ける場所が、身近な地域コミュニティにあるからだと考えています。今後ますます高齢者が増加するわが国において、身近な生活の場に、適度に、頭を使い、体を動かし、仲間と笑うことができる、小さな働く場やボランティア活動などをする場があることはすばらしいことです。

コミュニティ・ビジネスによる起業は地域経済への波及効果ばかりか、こうした高齢者の社会参加の場づくりにも有効に働くのです。たとえば中山間地では、高齢者による無農薬や低農薬による果実・野菜づくりが盛んで、“道の駅”の産直販売として全国各地で展開されています。その加工品も含めると全国で3000億円の市場を形成しているともいわれています。ですから専業農家では年収1千万円を超えることも珍しくありません。一方、ある農家のおばあちゃんは野菜づくりだけで年間売上500万円にも達するというし、“道の駅”では、年間売上10億円を越えるところも少なくありません。このように食材・食品販売がうまくいっている理由は、顔の見える関係の中で営まれる事業なので、食品の安全性への不安が叫ばれるなか、消費者が安心して食品を購入することができるからでしょう。いまの世の中は、顔の見える関係を失っているからこそ、顔の見える関係を回復する、こうした地域の現場にあるコミュニティ・ビジネスが貴重なのではないでしょうか。(拙著「みんなが主役のコミュニティ・ビジネス」ぎょうせい に加筆して構成)

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