新街道を行く(3)日帰り型観光へ一大決心
現地で聞いたお話ですが、最近道後温泉の宿泊客が減っているそうです。原因はいろいろあるかもしれませんが、ひとつには、しまなみ街道(瀬戸内海の島々を橋で結ぶ高速道路)により広島県とつながったことが考えられます。このことは日帰り客が増えたか、もしくはその先の高知や徳島まで足を進めたことによるものでしょう。
同じように新幹線でもいえます。長野新幹線により従来の宿泊型の観光地は大幅に客数を減らしました。東京からの日帰りが可能になったためです。橋や道路や新幹線が必ずしも地域振興につながらないケースでしょうか。昨日秩父市で講演をしましたが、秩父でも最近宿泊客が減っているそうです。いかに宿泊型の観光地から日帰り型の観光地に気持ち(事業)を切り替えるか、この一大決心がたいへん重要なのです。特に宿泊型観光の成功経験があるところは、今の観光客のニーズについていけないのでしょう。
いま日帰り型観光地で大成功しているところに川越市があります。小江戸・蔵の街・川越は、都心から1時間ほどですがいまや年間400万人もくる町です。ほとんどが手ごろな旅を求める日帰り客です。その一大決心の例にこんなことがありました。町のシンボルの前に魚屋さんがありました。ご近所の方を相手にする町の魚屋さんです。しかし日中観光客がひっきりなしに通るので一大決心をし、その観光客相手に刺身定食屋をはじめました。それからお店は大繁盛したとのことです。かつての宿泊型の観光地では、この一大決心をすることがなかなか難しいことなのです。
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