新街道を行く(4)地域間格差に取り組む
八幡浜市は、かつて海運業や漁業で栄えた町あり、西日本の大坂といわれたそうですが、今はその面影もないくらい衰退しています。漁業の衰退は特にひどく、湾内にはトロール船が1隻しか係留されていませんでした。盛んなときは、50隻以上が港に係留され、漁の解禁日には大漁旗を一斉になびかせて船出していったそうです。昨今の油の高騰ばかりでなく、水温の上昇で魚が取れなくなったことも一因でしょうか。
また八幡浜市は、高速道路が県都の松山から接続されておらず、手前の大洲インターで降り、一般道を進むしかありません。地方都市では、こうした高速道路、新幹線、飛行場などとの接続が地域経済の成否に与える影響は大であり、大企業も工場進出の有無を計るとき、こうした立地を調査しています。
現在、八幡浜市の人口は4万人あまりです。細内所長がかつて住んでいた川崎市多摩区の菅(すげ)町内会(人口規模が日本一の町内会です)の人口とあまりかわりません。都会には人が集まり過ぎています。どこの地方都市もそうですが、他所から観光客などを呼び込んで新しい市場(マーケット)を創造(活性化)することが、今後の課題解決の一つでしょうか。
今回そうした課題に取り組むため、コミュニティ・ビジネスによる起業ワークショップを八幡浜市で開催しましたが、子育て後の女性に元気があり、水産物の加工やミカンを活用したコミュニティ・ビジネス事業企画案が出てきました。このことは、まだまだ頑張れるということの証でしょうか。コミュニティ・ビジネスは浸透までに3年から5年と時間がかかりますが、こうした小さな種を大切に育てていくことが重要です。今後行政支援もこうしたことに継続して取り組まれることが肝要でしょう。地域住民が起こす地域密着型の起業(ビジネス)は、地域に雇用を生み出す、地方自立の第一歩だからです。コミュニティ・ビジネスは地域コミュニティの衰退を食い止め、地域間格差を解決する方法の一つでもあるからです。
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