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2007年10月

2007年10月 9日 (火)

ものづくり日本の経済的価値

  本日朝一番、事務所で目覚めて小雨の降りしきる中、久しぶりに新宿南口のクリスピー・クリーム・ドーナッツに、ドーナッツと珈琲を食しに行って来ました。なんと行列がありません。2006年の12月15日にオープンして以来、通勤の途中、所長が見たなかで始めての光景でした。店舗2階の客席から新宿南口の朝の喧騒を眺めながら、ゆっくりと珈琲を味わいました。これこそ”心のスローフード”でしょうか。スローフードとは、形ばかりの有機食材使用だけではなく、精神のスローが伴わないといけないと思っています。

 その点、わが国には”禅”があります。禅作法は、今風に言えば、あるがままに生きる究極の”スローフードとスローライフ”の実践でしょうか。英国の経済学者シューマッハは、21世紀は仏教経済の時代とも言っています。禅のマインドがこの考え方の源でしょうか。所長も30歳代のとき、毎月世田谷の禅寺で故・鈴木格禅先生からご提唱を受けたものです。毎週駒沢学園の土曜座禅会にも参加しました。最近はすっかりご無沙汰です。

 さて新宿といえば、所長は昔、むかーし、大学生活を送るため、18歳のとき、”あずさ5号”に乗って、信州・信濃路の松本に向かいました。いわば所長にとっての新宿は、大人の世界への出発点です。新宿南口の代々木事務所へは48歳のとき、30年ぶりに戻ってきたわけですが、新宿の町には感慨深いものがあります。

 さて先ほどのドーナツ屋さんは今後、10月12日に有楽町、そして埼玉の川口に相次いでオープンするそうです。アルバイトさんを募集していましたが、時給がおよそ2タイプに分かれていました。ドーナッツを作る人は時給1050円、売る人は時給950円だそうです。作る人の方が100円も高い。士農工商という身分制度を江戸幕府(幕府創設時は米価経済、途中から貨幣経済へ移行、それにより武士よりも商人が強くなりました)は作りましたが、昔からわが国ではモノを作る人の方がエライ(経済的価値が高い)ものなのですね。

 ”ものづくり日本”ですから

「商人(あきんど)も真心を込めて頑張らないといけないですね」と、江戸時代の石田梅岩の声が聞こえてきそうです。

 

2007年10月 3日 (水)

新街道を行く(12)酒は百薬の長

 今回、福山市鞆の浦を訪れたかった理由の一つにお酒がありました。当方事務所近くの広島県のアンテナショップ、”夢テラス”で売っていた薬味酒、”十六味保命酒”のふるさとを訪ねたいという強い希望がありました。所長は、仕事柄からか十六味保命酒ののど飴のファンでした。その鞆の浦には酒蔵が数箇所あり、秘伝の技を競い合っています。もともとは大阪の薬屋さんがご当地ではじめたのがきっかけだそうで、明治時代に秘伝の一部が公開となり、造り酒屋も増えたそうです。江戸時代に作られた創業家の建物は保存状態もよく、当時の商人の財力のものすごさが重厚な建物に込められていました(岡山県倉敷市の大原家も立派ですごかったですね、当時の瀬戸内海交易の経済規模が建築物から伺えます。このことは古代邪馬台国の時代からいえます。)。

 酒は百薬の長、しかし何事もほどほどが一番です

 今度は埼玉県の秩父でのお話しです。秩父地方には、昔葡萄酒、いまワインと呼ぶ、秩父ワインがありますが、秀作なのが源作印の秩父ワインでしょうか。先人たちが生葡萄酒と呼んでいた頃から、源作印のワインを造っているそうです。そして秩父には、12月の寒い秩父夜祭りがたいへん有名ですが、一方セメント会社があるように石灰質の多い土地柄で、葡萄の耕作にもたいへん適しています。西武秩父線が開通する前までは、埼玉県熊谷市が秩父地方の出口でしたが、いまでは都心の池袋駅まで鉄道がつながり、経済も東京に吸収されてしまったそうです。

 さて石灰質の多い土地柄には、この近くでは栃木県の足利地方があり、ここにもワインの醸造所、ココ・ファーム・ワイナリーがあります。知的障碍者の方々の働く場として誕生し、今では年間約16万本のワインを造っているそうです。ここも所長の大好きなところの一つですが、女性経営者、女性起業家としての池上さん(ココ・ファームの専務さん)の経営手腕によるところが大きいです。ここの一押しワインは、ズバリ”第一楽章”だそうです。池上さんからそう教えていただきました。秩父ワインもココ・ファーム・ワイナリーも両方とも有限会社で、地域資源を活かした等身大のコミュニティ・ビジネスです。

2007年10月 1日 (月)

新街道を行く(11)食街道を行く

 この夏、細内所長は、愛媛県(松山、大洲、八幡浜、佐田岬、伊方)、広島県(廿日市、広島、世羅、福山、鞆の浦)、岡山県(笠岡)、埼玉県(秩父、日高)、福岡県(博多、うきは)、大分県(日田)を講演、ワークショップなどでかけめぐりました。今回は食の視点から地域の食文化を取り上げてみました。

 松山では、ホテル近くのぶらり立ち寄ったところに”鳥ポジョン”がありました。こちらの地鳥のもも肉、地鳥の刺身は最高でした。大将が薦める地鳥の刺身でしたが、あっさり味で臭みも無く、日本酒によく合いました。伊予の国・愛媛の新名物の一つでしょうか。

 大洲では、割烹樽井で”鮎雑炊”をいただきました。鵜飼で有名な大洲ですので鮎はもちろん名物ですが、鮎雑炊は美味でした。こちらの女将は名物女将らしく、所長との会話も弾みました。客に話を合わせるのがたいへん上手な方でした。お隣には元愛媛県知事がご夫婦でお食事中でした。ご自分で運転してお帰りになりました。

 八幡浜は今、”ちゃんぽん”でまちづくりをすすめていますが、この講演期間中に5店舗で試食しましたが、ズバリ”ロンドン”のちゃんぽんが一番でしょうか。ご当地のちゃんぽんは豚肉ベースのちゃんぽんが主流で、戦後肉供給が少なかったときの名残りでしょうか。魚介類は捨てるほどあったご当地ならではの”ちゃんぽん”でした。いまでは魚貝類の方が高級になりました。

 愛媛県佐田岬の先端にある民宿大岩の魚介料理は、新鮮でボリュームもあり、一層食がすすみました。ここの大将の発想はたいへんユニークで、佐田岬半島の先端にある灯台まで手前の駐車場からつり橋をかけようと夢を語っていました。そうするともっと観光客が来るということです。そして漁船による岬めぐりを客に提供し、また釣り船としても活用しています。まさに自分の庭のように使いこなしています。

 今度は広島県です。日本三景の宮島で有名な廿日市市では、なんといっても”あなご”がイチバンでしょうか。宮島口の上野商店で”あなごめし”をいただきました。江戸前のあの柔らかいあなごと違い、ご当地のものは歯ごたえがあり、日本酒に合うような食感でした。宮島ではもみじ饅頭もたいへん有名ですが、小生はご当地のあなごが日本一であると思いました。

 広島県世羅町では夢高原市場の世羅高原6次産業ネットワークが提供している”生たまごご飯”が絶品です。値段も300円と手ごろで久しぶりの生たまごご飯でした。もちろんたまごもごはんも地元産だそうです。世羅高原6次産業ネットワークは、地元の53団体でつくるコミュニティ・ビジネス・ネットワークです。農家の元気な女性たちがスクラムを組んで頑張っています。

 岡山県の笠岡市では、笠岡諸島の”しまべん”が有名になりました。笠岡諸島6島それぞれに島の弁当があります。島づくり海社の本土支店・笠岡駅前のアンテナショップで販売していますが、週1回の販売ですから、島づくり海社で確認されてから来店されるとよいでしょう。手作りのしまべんは島の海産物で一杯です。季節に応じて旬の味を確認されるとよいでしょう。

  まだまだありますが、本日はここまでにしましょう。

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