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2007年12月

2007年12月12日 (水)

新街道を行く(19) 現代美術試論

 青森の友人たちの案内で青森県立美術館に行ってきました。
 2006年7月に完成した青森県立美術館は、三内丸山遺跡の隣にあり、真っ白な建物で、雪景色に完全に溶け込んでいました。室内の真っ白さと迷路には少々困りましたが、なかなかの出来です。奈良美智のオブジェも常設されており、彼に対する期待感が館内全体にみなぎっていました。40歳代の奈良は地元弘前市の出身で青森期待の星です。
 青森に行く前に平野政吉美術館にも立ち寄りました。秋田市にある平野政吉美術館の藤田嗣治の大作壁画”秋田の行事”は、1937年の秋田滞在中にわずか174時間で制作した傑作です。昨年東京汐留の日テレ前で見た岡本太郎(太郎の父・一平と藤田嗣治は美術学校の同期生)のメキシコでの壁画と双璧の大作で、かつ傑作でした。もちろん藤田の大作の方が早く、岡本はパリで世話になった大先輩・藤田の大作を意識していたのでしょうか。秋田での仕事の帰りに足早に鑑賞し、この壁画が、東京でなく秋田にあることの偉大さを実感しました。
 
 最近出来た東京ミッドタウンのサントリー美術館にも行ってきました。国宝の鳥獣戯画を拝見しましたが、900年前の先人たちも、現代人も、その考え方にあまり変化がないことに安堵感を覚えました。国宝鳥獣戯画には人間味くさい安心感があります。
 
そして、細内所長の所見は、
1.今回の図録はリーズナブルな価格、しかしミュージアムグッズは少し高すぎでしょうか。
(どこの美術館も経営が苦しいため、関連グッズを高めに設定して採算を合わせようとしています)
2.国宝は作品を一挙に公開すべきでしょう。前半、後半公開では作品のよさが半減。興行収入面と施設規模がその原因でしょうか。
3.あの施設ミックス(東京ミッドタウン)では、コンテンポラリーや現代アート、工芸品、現代ものに特化した方がマッチしていると思いました。
4.今回、村上隆や奈良美智が作るようなカエルやウサギ、猿などの立体像が欲しかったですね。海洋堂にでも依頼すればさらに面白いものになると思いました。世界的にも日本のオブジェは評価が高いのに少し残念ですね。機会を逃しているように思います。
 
 いずれにしても、これからは事業性が分かるミュージアムグッズ専門のキュレーターが必要になることでしょう。

2007年12月11日 (火)

新街道を行く(18) ヘルシー津軽路を行く

 細内所長の週末は、秋田市でのワークショップを終え、”かもしか5号”で青森県の浅虫温泉へ、青森の友人上野氏に誘われ津軽路を旅してきました。なんといっても浅虫温泉のドクター石木との再会はたいへん嬉しかったです。4年ぶりでしょうか。3年前に地域活性化センターへ寄稿した一文で社会起業家・石木基夫氏の活動をご紹介しましょう。

細内寄稿 月刊地域づくり第182号 地域活性化センターより

安心・安全の健康地域を目指す「活き粋あさむし」


 コミュニティ・ビジネスのユニークな事例を紹介しよう。それは青森市にあるNPO法人「活き粋あさむし」が経営する「浅めし食堂」である。その食堂は地元雇用の女性たちが運営する、家庭の味を提供する日替わり定食屋さんである。代表の石木さんは、この町の町医者、数年前に東京からUターンし、医院とNPOの多足のわらじをはく。食堂の食材は地元で収穫した低農薬の米や野菜と海産物などで、化学調味量を使わず天然のだしを使用している。メニューは「毎日なつかしい、ほっとする料理(ジャガイモ水団など)」を安価で提供。医師と栄養士の監修で塩分、カロリー、たんぱく質、脂質などの栄養バランスはばっちり。個人の健康づくりと地元女性の働く場の確保でヘルシーコミュニティ(安心・安全の健康地域)づくりを目指している。

 二十一世紀を開く時代のキーワードの一つは、石木さんのような社会起業家がコミュニティ・ビジネスなどでつくり出すヘルシーコミュニティづくり(新しい地域起こし)と言えるだろう。

 それだけ、わが国の地域社会は、超少子・高齢社会に向かって、経済行為だけでは解決できない、渾沌とした社会問題を発生し続けていくだろう。

平成16年8月 特集 コミュニティ・ビジネスより

 石木さんは、3年前の上述の事業をさらに発展し、最近では健康づくりに観光を加味した「新しい温泉ツーリズムの宿、ヘルシーインあさむし」をオープンさせていました。浅虫地区(温泉コミュニィ)の中に、クリニック、グループホーム、浅めし食堂、そして”ヘルシーインあさむし”とネーミングされたヘルシーツアーもある温泉宿、まさに”ヘルシーコミュニティづくり”を等身大、身の丈サイズで実践されていました。こうした石木さんのコミュニティ・ビジネス・ネットワークですが、地域の遊休資源を活用し、地域に新しい雇用の場を作りました。次の展開がたいへん楽しみです。これに団塊世代向けの”ヘルシースクール(細内所長の勝手な夢ですが)”を追加すれば、心身ともにリフレッシュし、健康な暮らしをとり戻せることでしょう。

 そして石木さんとの夢語らいは深夜まで続きました。奥さんも交え、石木さんの夢は大きく膨らんで行きました。その談議後、温泉宿の露天風呂から見渡す夜の津軽海峡は、霙まじりでとても幻想的でした。

2007年12月 2日 (日)

新街道を行く(17)愛媛のマアナみかん

 今年の夏、愛媛県八幡浜市でコミュニティ・ビジネスのワークショップを実施したとき、参加者から「マアナのみかん」のお話がよくでてきました。当時は聞き流していたのですが、最近「マアナ」の意味がやっと分かりました。

 代々木事務所から3分ほどのところに高島屋新宿店があります。そこの地下食品売り場にフルーツ売り場がありますが、全国の有名ブランド品がところせましと置かれています。そこで目にしたのが「マアナの日の丸みかん」でした。あのマアナは「真穴」だったのです。みかん1個60円~100円ほどでしたが、まろやかな甘さで上品なみかんでした。今夏八幡浜市の街の様子を当ブログに書きましたが、いま当時の残像を確認してみますと、まちに入っていくとき、一番新しく、しかも大きな建築物は「日の丸みかん」と書かれた、たしか農協関係の施設でした。まちの経済を牽引しているのが「真穴(マアナ)の日の丸みかん」だったのを改めて再確認しました。ちなみに富士柿も八幡浜付近の名産品だそうですね。1つ購入し食しましたがフルティーな食感でした。愛媛はほんとフルーツ王国ですね。

 小生が住む東京郊外の大型スーパーでは、”愛媛みかん”や”和歌山みかん”、”熊本みかん”は置いてありますが、マアナの「日の丸みかん」は置いてなく(他のブランド品も少なく)、流通過程で美味しいものは選別されていたのですね。

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