上野発のアキバ系 ビックスリー家電
山田さん、小島さん、加藤さんといって何を思われるだろうか?
この苗字は日本中にどこにでもいらしゃる方のものだが、れっきとしたアキバ系ビックスリーの名前である。いや所長が単にそう呼んでいるだけなのかもしれない。
その答えは、ヤマダ電機、コジマ、ケーズデンキの創業者の名前が山田さん、小島さん、加藤さんなのだ。
いずれも、アキバから北に100キロ圏に本社を置く、家電量販店の雄である。
どこに共通項があるか、解説してみよう。
各本社は、ヤマダが高崎市、コジマが宇都宮市、ケーズが水戸市とあり、北関東の各県庁所在地にあり、鉄道でいえば高崎線、宇都宮線、常磐線の中核駅である。これらの始発駅はいずれも上野駅が拠点である。しかし上野駅のもう一つの顔は、北関東から行商人たちの現金買いの拠点であったのである。
戦後、北関東の商売人は、現金を腹巻に詰め込み、商品買い付けに上野駅へ向ったそうだ。その現金で安く仕入れ、買い付けた商品を担いで電車(当時は汽車)に乗り込み、個人商店で安く販売したそうだ。そうした慣習から現金仕入れで、大量に安く商品を買い付ける家電量販店の仕組みが出来上ったそうだ。
またクルマ社会の進展が、現在のロードサイド店舗を発達させた。北関東3県は1世帯あたりのクルマ保有台数が2~3台と全国トップクラスにあり、クルマがないと生活ができないライフスタイルになっている。おまけに東京と違い、郊外には広大な土地が続いており、ロードサイド店舗の大型化に拍車をかけ、ますますロードサイド店舗を進展させた。その結果、中心市街地の空洞化が加速し、商店街のシャッター通りを増やした。
そしてバーイング・パワーの台頭である。作れば売れる時代から、消費者の安さ追求が、スケールメリットを発揮する大型専門量販店のニーズと相俟って、彼らがイニシアチブを握っている。まさにメーカー受難の時代でもある。
こうして前述した各種要因が複雑に影響し合い、北関東という立地や風土に起因するアキバ系の家電 ビックスリーが誕生したのである。
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