コミュニティ・ビジネスと社会起業家
6月5日(金曜日)『生産性新聞』の「一言」に掲載された所長の寄稿を転載します
コミュニティ・ビジネスと社会起業家
コミュニティビジネス総合研究所所長 細内 信孝
コミュニティ・ビジネスといえば、地域住民が地域の問題にビジネスの組織をもって取り組み、地域資源を活用しながら自ら問題を解決しようとすることであるが、その本質は、コミュニティの共同体論、地域の活性化論、社会起業論、NPO論、ボランティア論、社会参加論等の総合的な視座から成立している。
コミュニティ・ビジネスにおいて現場で主役となる人々は、団塊世代の退職者や子育てを終えた母さん達、そして障がい者や失業者、子育て中の母さん達であり、みんな働きたいと願ってきた人々である。そうした彼らを牽引するリーダーは“社会起業家”とも呼ばれている。
社会起業家とは、自己実現をしながら社会を変革していこうとするベンチャー精神を持つ起業家をいうが、最近若い起業家をそうした呼び方にすることが一般的に少なくない。しかし、それはけっして若い起業家の専売特許ではない。サミエル・ウルマンの言葉を借りれば、青春という“熱い心”と成し遂げようとする“実行力”を持ち合わせれば、それは年齢や性別を問わないものだ。
コミュニティ・ビジネスは、地域の諸問題に地域の仲間と一緒に取り組み、ビジネス組織を持って中長期に取り組んでいくものである。1~3年という短期間で地域の困った問題が解決するものではない。息の長い取組みであり、郷土愛をもって新しく創っていくものである。その先人を挙げれば、長野の小川の庄の権田氏、栃木のココ・ファーム・ワイナーの川田氏、滋賀の黒壁の笹原氏などである。私は、そうした郷土愛を持って地域を元気にする事業(コミュニティ・ビジネス)に取り組んでいる彼らを、本当の意味での“社会起業家”と呼んでいる。
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