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2011年4月 9日 (土)

法隆寺に見る安全、安心の仕組みを考える。

新著「新版コミュニティ・ビジネス」を昨年末に上梓し、それを記念して発行元の学芸出版社(京都本社)主催の京都講演をしてきたが、その帰り道に南都奈良、山の辺の道、三輪山、斑鳩の里まで足を伸ばしてきた。

昨年遷都1300年を迎えた奈良だが、町の様子がすっかり変ってしまって、JR駅前近辺など、どこの町にもあるようなありふれた近代的な駅に変わり、少し残念な気がしたのは私一人であろうか。古都奈良は奈良らしさをいつまでも保持して欲しいものだ。

そして今回は古代大和国家成立の地といわれる卑弥呼の里、巻向遺跡、箸墓古墳、山の辺の道、三輪山、大神神社辺りを散策してきた。いずれも中学高校の教科書に出てくるものばかりである。予定になかった大神神社の御神体・三輪山登頂も達成し、古代史研究家を自称する所長としてはたいへん実りのあるものだった。

翌日斑鳩の里の法隆寺にも出かけたが、五重塔、金堂、夢殿など、1400年近くも木造建築が立派に建っている姿を眺めていると、南都奈良、三輪山、斑鳩の地が、いかに地震や台風などの災害に強い土地であったかが分かるものである。

今回の東日本大震災は、われわれ日本人が地震列島の上で暮らしていることをあらためて教えてくれた。そんな中で法隆寺の五重塔に代表される高層木造建築物が1400年近くも大地に建っているのは驚異的だ。そこには強固な地盤はもちろんのこと、大工集団の技の伝承とそれを支えるスポンサー(昔は朝廷、荘園、徳川幕府など)や民衆の支持(太子講など)があることを忘れてはいけない。大震災に負けない仕組みは、この4つがあってはじめて安心を得ることができるのである。今回の東北の復興はハード優先のまちづくりでなく、こうしたことを踏まえて取り組んで欲しいものだ。

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