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2014年4月11日 (金)

わが国の政治経済に求められている地域課題

12年前に英国ウェールズ地方の公営住宅を視察したことがある。各戸の中にところどころ窓にベニヤ板が打ち付けてあり、どうしたのかとガイドさんに尋ねたことがある。何と放火に遭いスラム化しているとのこと。人影もほとんどない。

当時こうした住宅の販売価格を尋ねたところ100万円~200万円とのことで、中古の乗用車とあまり変わらないとの返事をいただいた。何といったことか!と思った次第である。英国ではこうしたところに地元のNPOが事務所を構えていることが少なくない。

さて、わが国の地域コミュニティに目線を移すと、現在わが国の空家物件は700万戸とも750万戸とも言われている。こうしたところの公営住宅の築40年ものの住宅販売価格を調べてみると、2DK団地サイズの50平米の東京郊外物件で200万円というものが出始めている。おおむね200万円~300万円台というのがその市場相場だ。英国のようなスラム化まではしてないものの高齢者や独居者などの社会的弱者が多く住むという。

高度経済成長期にはあった団地内の食品スーパーや飲食店、銀行(ATMは残る)などはとうに撤退しており、東京臨海部に林立する高層住宅や商業施設群との2極化が進行しているというのが、わが国の首都圏における地域コミュニティの状況だ。

少子高齢化の進行と所得格差が深化し、労働人口の減少と労働者の高年齢化が進展する中、活力のある安心・安全の地域コミュニティをいかにして維持していけるかが、いまわが国の政治経済に求められている地域課題の一つだろう。

経済が上向いているからと浮かれている場合じゃない。各々が地域コミュニティの足元を再度確認してみよう。

地方都市も過疎地や限界集落を抱え、同じようにミニ東京化が浸透し、2極化現象が政治経済の喫緊の課題として日本列島の隅々まで覆い尽くしている。

いよいよ待ったなしの時機を迎えている。

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