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2014年6月

2014年6月26日 (木)

サッカーのように12番目のプレヤーがコミュニティにも必要だろう

人が集うコミュニティにはいろいろある。

家庭という数人のコミュニティから1000戸(2千人規模)が集うマンション・コミュニティ、さらには地方へ視線を移すと”千人の村”という行政単位のコミュニティもある。

これらの人と人を結ぶのは、利害関係であったり、絆であったり、思いやりであったり、子弟関係であったりと複雑に交錯している。

そして、そこでは年一度の総会や役員選挙というものがある。

そこへの参加率がいま10%以下と危機的な状況にあるマンション・コミュニティが少なくない。

議長一任では参加の呈をなしていない。無関心さは市政、都政、国政もまったく同じ状況だ。

民主主義の根幹である”参加の意義”や”行動による意思表明”がいま一人ひとりに問われている。

サッカーのように12番目のプレヤーが地域のコミュニティにも必要だろう。

少子超高齢化、人口減少、未婚晩婚化、子育て孤立、独居高齢者、徘徊高齢者等と地域問題は山積している。

2014年6月22日 (日)

世の中便利になったが消えていく事象も少なくない

先日千葉県の銚子・九十九里浜方面に向かう特急電車に乗った。いつもの千葉県山武市に向かう特急列車だ。

久しぶりに珈琲が飲みたくなったので車内販売の販売員さんを探したが見当たらない。そこで車掌さんに確認すると、この3月のダイヤ改正で社内販売を中止にしたとのこと。

採算に乗らないのが主な原因らしい。この特急は連結車両数も五両と少なかったが、私は購買者の少なさをいつも気にしていた。今回の件さもありなんだ。

旅情を楽しむ要素がまた一つ減った。とても残念なことだ。便利(コンビニ)な社会がすべて人を幸せにするというわけでない。

なぜ車内販売を利用する人が減ったかというと、乗車前にコンビニや駅構内売店で購入する人が増えたのが真の原因らしい。

世の中便利になったが、こうした消えていく事象も少なくないことを肝に命じておくべきだ。商店街の個人商店が消え、まちの中心部がシャッター街となっていくのと同じ論理だ。果たしてこれでよいのだろうか。

2014年6月17日 (火)

ソーシャルビジネスとコミュニティ・ビジネス

 ソーシャルビジネスは、主に都市型ビジネスで都市の諸問題解決にビジネスで取り組みますが、インターネット等の活用で必ずしも相手の顔が見えなくても成立します(クラウドファンディングなどが該当)。しかし時には革新的なビジネスを生み出すこともあります。
    一方、コミュニティ・ビジネスは、主に地域コミュニティの問題解決に地域活動やビジネスで取り組みますが、その基本は人と人、人と地域・自治体、人と企業を結ぶ人間主体の互助的・互酬的なビジネスです。そして中には事業が高度に成長するとソーシャルビジネスと同じようになります(後述する郷土食のおやきや葉っぱビジネスがそれに該当する)。
 ソーシャルビジネスとコミュニティ・ビジネスは、重なる部分が大きいというのもその両者の基本的特徴です。それは都市部でも地域コミュニティが存在するからです。ソーシャルビジネスの事例には、都市部における有機野菜の販売事業や病児保育事業、クラウドファンディング事業(資金調達力の大きいところはほとんどが都市部に事務局を置く)などが上げられます。これらは地方・中山間地・過疎地では成立しにくい(採算に乗りにくい)という特徴を持っています。
    一方、コミュニティ・ビジネスの典型的な事例には、長野の過疎地における郷土食おやきの製造販売や徳島上勝町の葉っぱビジネスなどが上げられます。これらは過疎地における地域資源の高度利用、ICTの利活用、高齢者の有効活用など、総合的な地域活性化を狙っている典型的な先進事例といえます。しかしながらCBの大方は身の丈サイズの小さなビジネスです(シニアや女性、職に就いていない若者などの社会参加の場(コミュニティ)としてとらえればその意義は大であります)。

以下に、細内所長が主任講師を務めたソーシャルビジネス&コミュニティ・ビジネス講座の開催事例を紹介しましょう。

ソーシャルビジネス&コミュニティ・ビジネス入門講座(つくば市)

ソーシャルビジネス・サポーター養成講座(水戸市)

ソーシャルビジネス&コミュニティ・ビジネス入門講座(水戸市)

茨城県の県民人口は約300万人。都市部と農村部が混在するエリアを多数抱えます。

特に水戸市とつくば市(大学や企業の研究所が集中する学術文化都市)は、その周辺地域だけでも百数十万人の人口を抱え、先端的なソーシャルビジネス、コミュニティ・ビジネスが出現しています。

日本の中でもたいへん面白い地域の一つといえるでしょう。

2014年6月14日 (土)

非営利株式会社も震災特区の一つとして認めて欲しいものだ。

あの忌まわしい震災から4年目に入り、NPOに大きな試練が待ち受けていた。

震災以降、災害を真摯に受け止め、その公益活動をフル回転したNPOは少なくない。真面目なNPOほど目いっぱいそれ以上にがんばった。

寄付金や助成金などはどんどん入ってきた。震災前の事業規模の3倍から5倍になったところもある。しかし3年目から人々の関心が薄れ、寄付金や助成金も思うように集まらず半減していった。

事業活動の心臓は肥大化し、活動領域は数倍に広がったが、それを支えるスタッフの人件費が払えない。

決算書を作成してみると大きな欠損である。せっかく育ったスタッフも欠損、債務超過で解雇せざる負えない。そんなNPOが少なくないのが現状である。

NPO法人はその理念・目的から内部留保が難しく、会社のような資本金もない。震災のような突発災害には組織体としての資本力が少ないため、機敏性にやや問題があり、経営基盤が脆弱である。

そこで提案だ。非営利の株式会社を認めたらどうだろうか。

時限立法でも良い。地域限定でも良い。

今の成長戦略だけではアンバランスだ。地震、津波、火山など天災の多いわが国には、NPOの力だけでは心配だ。

政府には、非営利の株式会社を経済特区のオルタナティブな施策として、ぜひ認めて欲しいものだ。

英国では(わが国と制度は違うが)、NPOが公益活動を展開するときの法人格の一つに有限会社(一定の資本力を担保)があり、さらにチャリティ団体として登録(18万団体もある)し、税をはじめとして各種の社会的な恩典を受けているケースが少なくない(拙著『コミュニティ・ビジネス』中央大学出版部1999の第3章を参照されたし)。

今回の震災後の教訓・課題として、きめの細かい、顔の見える対応が可能なNPOの経営基盤の強化策が必要であり、その形態の一つに非営利の株式会社があってしかるべきなのだろう。

2014年6月12日 (木)

最適な事業解を見出すこと

昨日夕方のテレビニュースを見ていたら、早稲田大学隣接の名物食堂が紹介されていた。

その食堂は学生を対象に大盛りで安くておいしい飯を売りにしていたが、その前は早大生に学帽を売る帽子店であったそうだ。学帽を被る学生がいなくなるに従い、廃業を余儀なくされ、店主の奥さんが仕方なく学生向けの食堂を始めたというものだった。こうした転廃業、新規事業の創出は、一般の世間様では良くあること。学生向けの商売という視座は変えず、提供する商品サービスを変えて成功した事例といえよう。

同じように私の友人の斎藤さんはボイラー会社の技術担当役員であったが、自分に合った仕事探しの末、障碍者向けの車いす製造業を新たに起こし、ボイラー会社を他の役員に託した。これはコアになる技術は変えず、対象とする顧客を変えた事例の成功例と言えよう。

コミュニティ・ビジネスでも同じことが言え、コア技術は変えず顧客を新たに創出するケースと顧客は変えずコア技術を変えるケースがある。

転廃業に向けて、いずれのケースも基軸となるコア技術やターゲット顧客を意識し、自分や家族、スタッフの能力に見合う最適な事業解を見出すことが成功への近道と言えよう。

2014年6月10日 (火)

AKB総選挙もソフトバンクロボットも情報財ビジネス

情報には2種類ある。

形式情報と意味情報である。

最近話題のビッグデータの素は形式情報。

形式情報が大集合すると意味情報になる。

意味情報はそこに驚きが起こり、時間の経過とともに形式情報に変化する。

一度形式情報になったデータは再び意味を持つと、意味情報に変化することもある。

情報財の創生は、この進化のプロセスを押さえることが大事である。

AKB総選挙も絶えず意味情報を発信し続けるところに人々の驚きが起こるのである。

ソフトバンクの人の感情を認識するロボットは、形式情報から意味情報の認識変換を最初に成し遂げた商業用ロボットとしてビッグ・イノベーションなのである(孫さんはこのことを認識している)。

こう考えると、AKB総選挙もソフトバンクロボットも意味情報の活用に乗り出した21世紀の情報財ビジネスの魁なのだ。

この情報財ビジネスこそ、わが国の成長戦略の柱の一つになりうるのだ。

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