あの忌まわしい震災から4年目に入り、NPOに大きな試練が待ち受けていた。
震災以降、災害を真摯に受け止め、その公益活動をフル回転したNPOは少なくない。真面目なNPOほど目いっぱいそれ以上にがんばった。
寄付金や助成金などはどんどん入ってきた。震災前の事業規模の3倍から5倍になったところもある。しかし3年目から人々の関心が薄れ、寄付金や助成金も思うように集まらず半減していった。
事業活動の心臓は肥大化し、活動領域は数倍に広がったが、それを支えるスタッフの人件費が払えない。
決算書を作成してみると大きな欠損である。せっかく育ったスタッフも欠損、債務超過で解雇せざる負えない。そんなNPOが少なくないのが現状である。
NPO法人はその理念・目的から内部留保が難しく、会社のような資本金もない。震災のような突発災害には組織体としての資本力が少ないため、機敏性にやや問題があり、経営基盤が脆弱である。
そこで提案だ。非営利の株式会社を認めたらどうだろうか。
時限立法でも良い。地域限定でも良い。
今の成長戦略だけではアンバランスだ。地震、津波、火山など天災の多いわが国には、NPOの力だけでは心配だ。
政府には、非営利の株式会社を経済特区のオルタナティブな施策として、ぜひ認めて欲しいものだ。
英国では(わが国と制度は違うが)、NPOが公益活動を展開するときの法人格の一つに有限会社(一定の資本力を担保)があり、さらにチャリティ団体として登録(18万団体もある)し、税をはじめとして各種の社会的な恩典を受けているケースが少なくない(拙著『コミュニティ・ビジネス』中央大学出版部1999の第3章を参照されたし)。
今回の震災後の教訓・課題として、きめの細かい、顔の見える対応が可能なNPOの経営基盤の強化策が必要であり、その形態の一つに非営利の株式会社があってしかるべきなのだろう。