クラインガルテンと農村起業家たち
農山村、過疎地のコミュニティ・ビジネス的展開の一つにドイツ生まれのクラインガルテンと呼ばれる市民農園がある。20年前細内所長はドイツの環境共生調査の一環で、現地の市民農園をいくつか訪問したことがあるが、本家のものとわが国のクラインガルテンとの大きな違いの一つは、ミツバチの存在だろう。ドイツの市民農園では、農園内でミツバチを飼う姿を数多く見かけた。ミツバチの存在が、彼らの農園生活を豊かにし、食文化をさらに発展、充実させていた。つまり大げさにいえば、欧州では人類の農耕文化に寄り添うようにして養蜂文化が存在していた。私の実家は50数年続く小さな養蜂場であり、私が小・中・高校生の頃、よく採蜜を手伝ったものであるが、わが国の西洋ミツバチを飼う養蜂業はまだ特殊な存在なのだ。
さて先日南信州の喬木村にあるクラインガルテンを視察する機会を得たので、その姿をご紹介しよう。
南信州にある日本型クラインガルテンでは、都市部の名古屋や横浜などの市民が主な借り手となっている。そこでは野菜作りが彼らの農的生活を充実させ、地域の行事にも参加しているという。人と人との交流を促し、村にグリーン・ツーリズムを呼び込んでいる。
今後のライフスタイルは、グリーン・ツーリズムと共に、地域にある総合型地域スポーツクラブにも積極的に参加し、農耕やスポーツをアグレッシブに楽しむ時代だ。生涯スポーツによるサービスの提供でスポーツ・ツーリズムが全国各地に到来し、超高齢社会の中で健康寿命の維持・発展が求められ、医食住とともに生涯スポーツを楽しむ豊かな時代の到来だ。それは世界一の長寿大国日本の面目躍如であり、欧州の生活文化のバージョンアップだ。
閑話休題
そしてわが国では、クラインガルテンのそばには、必ず地元住民が作った農産物の直売所がある。園内の作物が不作の時など、そこで調達し、時にはお土産として買い足していくのである。よって直売所は、観光客ばかりか、クラインガルテンの住民にもたいへん喜ばれている存在なのだ。
上記店舗は、地元の有志らがこの店舗を運営・経営している。彼らは農村起業家だ。彼らが作った会社は1円からでも作れる株式会社なのだ。新鮮な野菜ばかりでなく、地元の名物クリを使ったクリ焼酎など、新たな加工品を造り、6次産業化を目指している。
こうしたコミュニティ・ビジネスが年金だけに頼らない、自助・共助的で行動する元気な高齢者を農村コミュニティに産み出している。
彼らが農村の元気の源なのだ。
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