わが国のパン食の時代を拓いた成功の秘訣
12年前の短大教員のころ、ショップマネジメントという授業を担当していたことがある。教え子のなかにパン職人になりたいという女子学生もいたが、長時間労働による負担の重さを諭したことがあったが、最近はパン生地の作り方も冷凍技術が格段に進歩し、パンの計画生産が簡単にできるという。それを可能にしたのが低温製造法という。この方法を発明したのが広島の高木ベーカリーというパン屋さん(のちにアンデルセンに変更)で、東日本では”アンデルセンのパン”といった方が分かりやすいだろう。
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アンデルセンは国内最大級の焼きたてベーカリーで、年商は640億円、全国に71店舗を数え、フランチャイズとしてリトルマーメイドを傘下に持つ。パンのセルフ販売方式を最初にはじめたのもここだ。アンデルセンのそうした”わが国のパン食の時代”を拓いた成功の秘訣を少しひもといてみよう。
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アンデルセンの平均購買単価は800円ほどという。コンビニの平均購買単価500円台にくらべれば比較的高い方だ。売れ筋パンの単価が200円~400円台とすれば3つ~4つ買えばそれを上回る金額となる。店内にはイートインコーナーもあり、私などは持ち帰りのパンとは別に無料のコーヒーを脇に置いて焼きたてのパンをいつも頂戴してしまうほど美味しい。
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スタバやサンマルクなどのカフェにもパン生地を提供しているという。年商の10%・約60億円がこうしたパン生地による外商だそうだ。冷凍専用のイースト菌の活用が、かつてのパン製造の重労働から職人さんたちを解放したとのこと。もっと早くにあの女子学生に伝えてあげればと、今では自責の念に駆られている。
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さて、直営ベーカリーのアンデルセンは、広島県に芸北100年農場という187万平米というとっても大きなファームを持っているという。そこで食とは何か、小麦の種から苗を育て、そこから小麦を収穫し、100本の麦穂から一つのパンを作るという。アンデルセンの新入社員は、そこで2年間の食物の重みを体験し、各店舗へと向かうという。
人材育成にもそうして手間暇がかかるものである。
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