地域経済に関するバランス感覚と北海道新幹線に思うこと
あれはたしか2002年だったと思うが、私に札幌商工会議所から講演の依頼が舞い込んだ。
鉄道好きな私は、飛行機でなく、あえて寝台特急北斗星の東京―札幌間往復を選択した。
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講演を終えて札幌商工会議所の会頭室で会頭にお目にかかったが、その時、会頭室に張り出してあったスローガンが、「北海道に新幹線を誘致しよう」であった。窓から見える札幌のシンボル・時計台とそのスローガンが今でも脳裏にダブって映る。
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帰りの夜行寝台北斗星が室蘭駅を過ぎたころ、会頭室で見かけた「北海道に新幹線を!」のスローガン入りの看板が再び海岸線の線路際に立っていた。
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その悲願が本日北海道新幹線の開通となって、私はテレビで開通風景を目の当たりにした。月日が経つのは早いものだ。北海道道民の方々には待ちに待った祝日であろう。お祝い申し上げる。
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が、しかし課題は多い。
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本日開業日を含めた9日間の新青森駅ー新函館北斗駅間の予約率は何と25%であるとJR北海道が発表していた。走れば走るほど赤字になる勘定だ。そして在来線も直撃を受ける。在来線を利用する学生や通勤客の定期代もいずれ倍近くになるだろう。
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北海道の人口は500万人、そのうち40%は札幌市民だ。北海道新幹線を採算ベースに乗せるには、新函館北斗駅から札幌駅まで延伸し、その沿線の人口を2倍の1000万人にしないと採算ベースのクリアーは無理であろう。東京圏人口の吸引は距離的にも難しい。
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3.11の被災地を抱える東北6県の人口は900万人を割り込んだ。神奈川県一つで900万人をすでに超えている。とうとう逆転してしまった。北海道と東北6県の合計人口は、約1400万人だ。これは日本の人口の約11%に当たる。
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暴論かもしれないが、ここで一つ提案である。
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北海道と東北6県で思い切って消費税を1%まで引き下げ、楽市楽座を展開すべきであろう。逆に東京をはじめとする大都市では、消費税に大都市付加価値税をのせて欧州並みの15%にしても良いだろう。
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そうしないと東京圏を除く東日本の経済は、人口減少とあいまって沈没しかねない状況だ。いまや地域経済に関するバランス感覚こそが必要なのだ。全国一律や均等、オール日本などという言葉は不要で、日本各地のそれぞれが己の地域の自立最適化を目指すことこそ必要なのだ。東京視点で見た高速鉄道の新幹線や観光開発(例えば東京と4時間で結ばれるという視点など)は不要な時代を迎えている。
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☆日本の新幹線は技術もデザインも運用も世界一だが、本来の目的と手段の関係、なぜそれが必要なのかなどの根本思想に課題が残る
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