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2017年8月15日 (火)

岡山県倉敷市の楯築弥生墳丘墓の謎に迫る

細内所長は、地域づくりという仕事柄、全国各地の古墳や墳丘墓、古代遺跡を数多く見歩きしてきた。

 北海道旭川の博物館では、アイヌ文化と北海道の土偶に触れ、青森県では、三内丸山遺跡や亀ヶ岡遺跡、福岡県吉井町(現・うきは市)では、筑後川沿いの月岡古墳や珍塚古墳、桂川古墳などの抽象壁画を拝見して感動、また奄美諸島の徳之島では、線刻石遺跡を案内され、吉備国・岡山県では、造山古墳、作山古墳、両宮山古墳、月の輪古墳を案内してもらい、奈良では山野辺の道を歩き、三輪山に登頂し、そして箸墓古墳、黒塚古墳などの外周を散策した。神戸では明石海峡に整備された五色塚古墳を歩き、毛国(栃木・群馬)では、侍塚古墳、摩利支天古墳や太田天神山古墳、観音山古墳などに登頂し、また宮崎県の西都原古墳群では、借りた自転車で西都原すべての古墳を巡回した。さらには大阪堺の大仙陵古墳では、その外縁部を歩いて一周し、その大きさを自ら体感したことを矜持としている古代史研究家でもある。すべて仕事(講演やセミナー)の後のもう一つの知的探求のツーリズムである。

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*楯築神社への道標

今回はじめて、岡山県倉敷市にある楯築遺跡(弥生後期の墳丘墓)を訪ねる機会を得た。しかも偶然にも墳丘墓の管理をされている方(自治会長さん)に転んでケガをし難儀しているところを助けてもらい、その墳丘墓と収蔵庫を案内されて、実物のご神体・亀石や発掘された朱を見せてもらうことができた。まさに怪我の功名とはこのことである。不思議な体験である。
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ここの亀石は、実は2体あり、一つが収蔵庫にしっかりと保管され、もう一つの破壊されたものが整理されて岡山大学にあった(翌日岡山大学の資料室を訪ねた)。大王の木棺を上下の亀石で守っていたのである。
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*収蔵庫の中にあった不思議な亀石
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*墳丘部の石の祠に昔はご神体の亀石があったという

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*墳丘部の遠景

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*木棺が埋葬されていたという頂上部付近、岡山大学教授の近藤義郎氏(栃木県足利市出身)によって調査が進められた。近藤氏は月の輪古墳も発掘している

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*中央の円墳から両脇に突き出しがあり、前方後円墳の始まりではないかと言われている

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*収蔵庫に保管されている朱、桐の小箱に分けて保管されていた。発掘時に32キログラムも出たという朱は、桐箱に納められていたが、小箱でもかなり重いものである。この朱(水銀)は中国製?であるといわれている。

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当日はカンカン照りのなか、JR吉備津駅から歩いて現地入りしたが、丘の上にある墳丘墓の入り口で地神さまと水神さまに偶然にも出会った。これらの石碑を見て、現代社会の地域神であるが、1800年前の弥生後期の神様・すなわちご神体が亀石ではないかとふと感じた。そして、この世とあの世を結ぶ結界の目印がご神体・亀石の役割ではないかと思った次第である。
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*楯築神社・墳丘墓への入り口に地神と水神が並んで鎮座している

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*住宅団地の造成で突き出し部分が失われてしまった(現況)

楯築遺跡からは、2つの亀石が出ているが1つは綺麗な状態の孤帯石・ご神体、もう一つは多くの小片に破損された亀石(岡山大学で本物を見ることができた)だ。
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現地で見せていただいた綺麗な亀石(筆者写す)
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*小片に破壊され、埋蔵されていたもう一つの亀石(写真は岡山県古代吉備文化財センターのHPより引用、岡山大学所蔵) 

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*墳丘部から出土した特殊器台(写真は岡山県古代吉備文化財センターのHPより引用、岡山大学所蔵)

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収蔵庫の正面に掛かる額の読み方は楯築宮?という

これは私の直感だが、亀石は前述の地神さまと水神さまの思想の源流(1800年前)ではないかと思っている。地神さまは小片に分解され地中に埋蔵された。そして地上に安置された亀石さまは、水神さまとして、後世の楯築神社のご神体として大切に保管・安置されたのではないか、現地をあとにしていまはそう思いを強くした次第である。
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補足情報
本来、岡山県での仕事はこちらでした。生活観光は、CB総研としての自主研究であり、現地におけるダブルワークでもあります。
念のため。
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