細内所長の仕事の仕方(細内メソッド)

2022年7月28日 (木)

日本改革の肝はDXよりも人材の流動化が先

デジタル庁は果たしてうまく機能するのか?

私は勝手に、DXの旗振り役と行政機構の電子政府化を推進する役割を期待されていると思っているが、21世紀前半の日本改革の肝は、電子化よりもむしろ人材の流動化を高めることの方が先であると考えている。それは首になりやすい、辞めやすいが、すぐに職に就きやすい社会でもある。そして実力があれば、またスキルを磨けば次のステップに上がることが可能となる社会である。

DXはそのネット社会の構築手段の一つにすぎないのであり、事業者が儲かる社会ではない。

例を一つ上げよう、数年前に視察したある政令指定都市の社会福祉協議会は、都市の中に県社協、市社協、区社協、地区社協と4つあり、一人の要介護者に対してそれぞれ個別に紙上で個人情報を管理していた。これでは無駄ばかり多く、効率的な運営は難しい。しかも働き手(人材)の流動性が少ないため、組織は硬直化している。

こうしたことからもデジタル庁は、まず人材の流動化促進法策定と働き手の再教育・セーフティネット構築が先ではないか、と私は考えている。

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元総務省地域情報化アドバイザー(委嘱期間13年間)

2022年2月24日 (木)

「情報と情報財」研究の軌跡、先輩研究者からの贈り物

私は、1980年4月から6年8か月勤めたドイツ系外資系企業から、1987年2月に私立大学の経営コンサルティングセンターの研究員になった。本業の経営コンサルティング以外の自主研究として、前職の時から関心があった”情報”について勤務先の姉妹校短大の田中功助教授(後日、田中氏は、日本女子大学の教授となる)の先導のもとに共同研究を始めた。その成果が次の一連の論文だ。

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そして情報財という言葉がまだグーグルやほかの検索エンジンにも出てこない時期(1987年から1990年代初頭)に興味を持ち、その概念形成に果敢に取り組んだ(これを研究という)論文が、大学の姉妹校短大の紀要に掲載された。それが次の論文だ。

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さらに当時新しく設立された情報文化学会の全国大会での発表とその成果をまとめたものが次のものである。すでに大学の研究員から大手銀行系のシンクタンクに移籍(1991年)していたため、肩書は住信基礎研究所副主任研究員となっている。

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当時1990年代の論文は、まだまだ手書きの図表が幅を利かしていた。次の図表も自ら描いたものだがたいへん懐かしい。

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この時(1993年11月発表)の論文は、国立国会図書館のデジタルコレクション(学会誌は1994年7月発行)に収められている。

この学会発表がご縁となり、大分県の豊の国シンポジウムに招待講演が舞い込んだ。しかもノーベル化学賞受賞者福井博士の前座で情報財の講演を行うのである。

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福井先生の写真の下にある会場の写真に私と後に東大教授になる川口さんも隣同士で写っている。統一テーマは「発想の原点を探る」である。私は「情報財」が演題テーマで招聘講演を行った(1994年5月)。

これらの「情報」に関する一連の研究と「CBによる地域の元気づくり」の研究が、2007年から始まり2000年3月までの13年間務めた総務省の地域情報化アドバイザーに繋がるのである。委嘱状は当初当時の大臣が任命しているが途中から総括審議官(ナンバー3)になった。いま13枚の委嘱状が私の事務所の机の上にある。

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2022年1月26日 (水)

研究テーマが面白ければ、それは芋ずる式に広がっていく、日本のテーマパークを中心に敢えて公開する

1990年代前半に住友信託銀行のシンクタンク勤務で感じたことを述べてみよう。

1991年に私が調査した日本全国のテーマパーク事業は、当時クライアントから求められた調査研究テーマの一つであった。1983年4月15日に東京ディズニーランドが開園してから8年が経過し、我が国のテーマパークの事業要因を考察してほしいという要望に基づいて行われたものである。

1992年の報告書3月版、9月版と2冊あり、2年度に渡って実施された。クライアントに納品された後、早速研究所の機関誌にその概要記事を書くようにと業務命令が来たが、その結果が次の機関誌(1993年1月、住信基礎研究所発行)に掲載された小論である。

*写真をクリックすると拡大します

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しばらくして研究所の機関誌を見た外部の出版社から原稿依頼がきた。当時は外部への講演や寄稿は、研究所にその謝礼金や印税の半分を納めれば自由にやってよいことになっていた。次の写真の週刊ダイヤモンドへの寄稿は、1993年9月4日号である。

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そして日本経済新聞社からの取材(上記の黄色の表紙もの)や銀座にあるレジャー&レクパーク関係の出版社からも寄稿の依頼がきた。

それが、次の「レジャーランド&レクパーク総覧1994」の第一章「日本のレジャーランド考」(1993年11月発行)への寄稿である。

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同時期に所属学会からも全国大会(東京・玉川大学にて開催)での発表依頼と掲載された学会誌の論文(当時銀行系の住信基礎研究所からオムロン系のヒューマンルネッサンス研究所へ移籍をしたばかり)

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以上のように、研究テーマが面白ければ、芋づる式に仕事が舞い込み、全国から寄稿や講演の依頼、そしてコンサルティングの仕事が入ってきたのである。

研究員冥利に尽きないこととは、この芋づる式の仕事のことで、次(1994年6月より)の移籍先の研究所(オムロン系の生活文化研究所)では、”コミュニティ・ビジネスが地域を元気にする”というテーマとなって、大きな花を咲かすのである。

☆彡

2021年12月12日 (日)

温故知新、信頼のおける仕事

濱田庄司の益子焼の珈琲カップを今でも使っているが、生活シーンに納まる重厚感のあるカップである。

20年前、ある美術商から購入した時、木箱の中にこの栞が入っていた。

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同志・柳宗悦の推薦文である。

彼曰く「濱田の仕事は、信頼のおける仕事である」と、実に良い仕事を表わす先人の重みのある言葉である。

いま東京近美で民芸100年展が開催されているが、すぐにでも”信頼のおける仕事”を確認しに行きたいものだ。

☆彡

2019年10月13日 (日)

細内所長のランダムレクチャー

CB総研の資料整理をしていたら、細内所長のレクチャー集が出てきたのでご紹介しよう。

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☆当時所属していたヒューマンルネッサンス研究所の主任研究員、第三研究課長時代における小論(研究所機関紙より)

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☆CB総研所長として”花農場あわの”の女性起業家若林さんを交えてある広報紙における細内レクチャー

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☆福岡市役所におけるCB講演会のリーフレット

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☆都市住宅学会20周年記念シンポジウムにおけるパネラーとして招待された時のレクチャー

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☆コミュニティ・ビジネス戦略をAFCフォーラム(日本政策金融公庫農林水産事業本部)に寄稿する

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☆細内所長の松山講演(地域資源からビジネスへ)から地元研究機関がその考察(政策研究セミナー)を行う

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☆CB事例、ココ・ファーム・ワイナリーの紹介記事を監修する(これは、しんくみ情報誌『ボン・ビバーン』で、全国の信用組合の銀行店頭で配布されていました)

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☆CB総研スタッフと一緒に「近代セールス」へ寄稿する

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☆法政大学大学院政策創造研究科の兼任講師時代、地域デビューについて「週刊ポスト」にコメントを寄せる

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☆細内信孝著『新版コミュニティ・ビジネス』の201ページよりワーク・ライフ・バランスについての実例紹介

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近著の『人にやさしい仕事』

©東京侍制作委員会により『人にやさしい仕事』は制作されました。

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2019年1月20日 (日)

私流の生活観光の視点

昨日千葉商科大学へ講義に行きましたが、JR市川駅から大学までの大門通りのアプローチがそぞろ歩きに好都合で、私の好きな道の一つです。途中にコロッケの旨い肉屋があり、そして豆大福が美味しい和菓子屋もあり、かつ眠い時にパンチの利いた珈琲を出す喫茶店もありで、かつ道幅が狭く、車は一方通行です。これって私流の生活観光の視点です。大学へは寄り道で40分ほどかかりました。

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こうしたそぞろ歩きをしてみませんか。町の資源にあった生活観光のコースはいくらでも設定が可能です。これが高齢社会の町遊びです。
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真間山弘法寺山門より市川市街をのぞむ

2018年3月 6日 (火)

公立図書館がたいへん役に立つことをみなさんご存知ですか?

こうして仕事の企画ものは練られる?

仕事の調べもの、ライフワークの調べものというとき、
遠方にある図書館の書籍まで無料で取り寄せてくれる。
図書館相互の協定によって成立しているという。
たいへん便利なものだ。
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ちなみに現在公立図書館から借りているものを写真でご紹介しよう。
☆彡
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FBのお友達・森さんの明治・大正・昭和と続く美人伝ものは、近所のⅰプラザ図書館から取り寄せてもらい、すべて拝読しました。地域誌「谷根千」から人物、特に女性伝ものへの移行は流石です。史伝ものは明治の文豪森鴎外から始まる近代小説ジャンルの一分野。小生も真似してエッセイ風に寄せてみました
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多根さんはメガネ小売業の3代目オーナー、ヴィンテージを専業とする会社の社長さんでもある。
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有機野菜の宅配事業を作り上げた大地を守る会の藤田さんとは、2003年英国外務省の招きで一緒に訪英して以来の先輩。
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足利のこころみ学園、ココ・ファーム・ワイナリーの川田創設者とは、1998年講演で訪れた足利商工会議所の帰りに、ワイン債で作られたスパークリングワイン「ノボ」を勧められたとき以来の彼の熱烈ファンだ。写真は法政大学大学院で教えていたころ、引率してワイナリーを訪問。
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アンデルセンは、広島のタカキベカリー創設者高木さんが起こした少しおしゃれなパン屋さん。ヒュッゲなひと時を本を読みながら次世代型店舗でくつろぐ
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「振り切る勇気」は、ファションメガネの新価格帯で新しいマーケットを創造した田中氏の自伝もの
☆彡
いずれもある目的のもとに公立図書館から集められた書籍だ。私がいま何を企画しようとしているのか、お分かりいただけたであろうか?
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判明した方のご連絡を待つ!

2008年5月15日 (木)

幻の手塚治虫ワールド

 前回の福祉介護のロボットから、わが愛する手塚治虫の名前が浮かんだが、細内所長は10数年前、手塚関係のある幹部さんから”手塚治虫ワールド”事業構想のご相談を受けたことがある。国産テーマパークは、結果として幻に終わったが、実現していれば川崎沖に誕生し、羽田空港からのアクセスが確保されたことであろう。

 純国産のテーマパークは夢として消えたが、当時は、たしか5案に及ぶ事業構想書を拝見した記憶がある。細内所長は当時住信のシンクタンクで地域開発の研究調査(追記:http://cbhakase.cocolog-nifty.com/blog/2022/01/post-7cb0d3.html)を担当していた。

そんな関係でコメントを求められたわけである。わが国を代表するシンクタンクのもの、大手広告代理店のもの、手塚関係のものと、事業構想書は多彩を極めていた。しかし一番事業構想に夢があったのが、手塚治虫の思想を受け継ぐ、手塚プロダクションの作成したものだった。今でも印象に残る”手塚治虫ワールド”のメイン・エントランスは、手塚先生のトレードマークであったベレー帽を模してあった。夢のある事業構想書であったが、実現しなかったのが、いまでも大変残念なことである。

 そして手塚プロの幹部さんから、クリスマスイブの日に”鉄腕アトムのケーキ”を、その御礼として東京神谷町の職場(当時、その半年前に住信基礎研究所からヒューマンルネッサンス研究所へ転籍していた)まで直に届けていただいたのが今でも強く印象に残っている。

 ☆彡

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当時頂いた年賀状と手塚治虫ワールドの基本構想書

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その後、所用で東京高田馬場にある本社を訪問した時のもの

☆彡

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リボンの騎士は私の好きなキャラクターの一つ

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ブラックジャックは、医師の資格を持つ手塚先生にしか描けないシリアスなドクター・キャラクターである

☆彡